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アルキルナフタレン性能調査その2


※以下、アルキルナフタレンを「AN」と呼称します。
前回は添加量を算出する為にExxonMobil社の資料で調べてみましたが、今回はKing Industries社Lubricant Additives Divisionのデータで性能を調べてみます。
ExxonMobil社製とその性質に大差はないであろう、という考えです。

エンジンオイルに対して、添加剤としてのANをどの程度混ぜれば良いか、は別記事にまとめてありますのでそちらを参考にしてください。


2016年6月26日anking01

King Industries社では、ANを「Synthetic Base Oils & Base Oil Modifiers」=「合成ベースオイル、ベースオイル改質剤」としています。
100℃動粘度で3.8~17.5cStまで8種類リリースされています(うち3つは食品と接触する可能性が許容される認証をFDAから取得したFGシリーズ)。



2016年6月26日anking02

ExxonMobil社より選択肢が少し多いでしょうか。
自動車用としてはKR-008が最適のようですよ(某様へ)。
KR-008適用可能部:ミッションオイル、エンジンオイル、ギヤオイル、コンプレッサーオイル、熱伝導オイル、油圧作動油、抄紙機(製紙)オイル、タービンオイル



2016年6月26日anking03

King社でのANの商標は「NA-LUBE KR」です。
上の表はANとPAO、エステル、VHVIを含めた鉱油との優劣比較です。
上から順に、
・Thermo-Oxidative Stability:熱酸化安定性
・Thermal Stability:熱安定性
・Hydrolytic Stability:加水安定性
・Seal Swell:シールの膨張性
・Viscosity Index:粘度指数
・Additive Solubility:添加剤溶解性
・Film Thickness:膜厚
エクセレント率が高いですね。




【ベースオイルとしての性能】

2016年6月26日anking04

2016年6月26日anking05

※試験方法:CEC-L-48-A-95 バルク酸化試験変法
※試料は可用性の鉄触媒と銅触媒を含む500グラム、毎時15リットルの大気に暴露し160℃にて72時間の変化を観た(加速試験/虐待試験)。
・青い「KR-015」はKing Industries社製13.5cSt@100℃のANです。
・「TMP Ester」は少々強引ですがポリオールエステルと考えてよろしいかと。
・オレンジ色の「0.3%AO」とは、Anti Oxidants=抗酸化剤を0.3%です。それが何か、は記載されておりません。
・「KR-015」ってどこかで聞いたような、、と思いきや、ハンダのKR-19に似ているだけでした。私の愛用ハンダはKR-19SHRMAです。

<左の酸価グラフについて>
※縦軸が酸値、横軸が時間(酸価↑=劣化)
・エステル2種類、VHVI、VHVI+抗酸化剤、PAOの全てに勝利しています。
・エステルもANとは違う性質での優秀な潤滑油ですが、酸化についてはアレヨアレヨと進んでしまいますね。Narrowde【http://www.narrowde.com】さんのエステル系添加剤・Compはその辺の対策をされているようですが、ANも併用するとさらにエステルが安定してその優秀さを発揮しそうです(ANは混ぜるとAN自身だけではなくオイル全体としての安定性が上昇します)。
・VHVIは最も面白く無い自然な上昇具合です。
・PAOは一旦上昇した後に下がるのが不思議です。このまま続けたらどう動くのか気になるところです。

<右の粘度指数グラフについて>
※縦軸が粘度指数上昇率、横軸が時間(粘度指数↑=劣化)
・全てに圧倒的勝利です。
・PAOが意外と弱い、と一瞬思いましたが、ANが強すぎるだけの錯覚だと思います。



2016年6月26日anking06

※熱酸化安定性を測定(どの程度の時間で一定の酸化レベルに到達するか)。
※試験方法:ASTM D 6168
※試験条件:200〜210℃、500psi(ポンドスクエアインチ)の酸素
※「KR-015」「KR-019」はKing Industries社製のANです。

・数字が大きいと熱酸化安定性が高いという意味ですね。いまいちイメージが湧きづらい表です。




【ベースオイルに対する改質剤=添加剤としての性能】

2016年6月26日anking07

※熱酸化安定性を測定(どの程度の時間で一定の酸化レベルに到達するか)。
※試験方法:ASTM D 6168
※試験条件:150psiの大気圧下にて160℃を維持
※7cStのVHVIに各化学合成油を20%混合
※「KR-015」はKing Industries社製13.5cSt@100℃のANです。

・特にコメントが思いつかないほど圧倒的性能です。
・これはVHVIに20%混合した際の、「混合油」としての性質の変化を観たものです。



2016年6月26日anking08
※熱酸化安定性を測定(どの程度の時間で一定の酸化レベルに到達するか)。
※試験方法:ASTM D 2272
※「KR-015」はKing Industries社製13.5cSt@100℃のANです。

<左のグラフについて>
※7cStのVHVIに0〜100%までのKR-015を混合させた。
※縦軸が一定のレベルに酸化するまでにかかった時間、横軸が添加されたANの割合。
※本試験は他の添加剤や安定剤無しで実施した。

・グラフの見方としては、横軸の左端=0の時はVHVIだけの時の性能、横軸の右端=100%の時はANだけの時の性能です。
・このグラフはプロットされていないところはデータがなく、単に直線で繋いでいるだけな点は注意です。
・概ねの値を読み取ってみますと、「0%→25%→50%→75%→100%」=「18→35→63→71→83」程度でしょうか。シンプルに考えると、25%の添加で熱酸化安定性は約2倍となります。

<右のグラフについて>
※縦軸が一定のレベルに酸化するまでにかかった時間
※横軸は7cStのVHVIとANを比較したもので、左から、
 酸化防止剤無し→0.2%ブチルフェノール系酸化防止剤添加→0.2%ZnDTP添加→0.2%ジフェニルアミン添加

・酸化防止剤無しの場合でもANの性能が圧倒的ですが、等量の酸化防止剤を添加した際でも同様。かつ、DPAや一般的に頻用されるZnDTPやについては、VHVIとの性能差がこれだけ出てくる。という結果です。


【まとめ】
ANは少々高価ですが、しっかりその分の性能があるという事はお分かり頂けるかと存じます。
なお、ANは摩耗防止などの性能も備えているのにメーカーのデータにあまり出てこないのは、本品は主に産業用として販売されており、その業界ではストックしておく時や、機械や重機などを使わない時などのオイルの酸化/劣化対策に重きを置いているからではないかと考えます。
摩耗防止、極圧性なども優秀です。






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